何歳まで生きるのか?老後の資金を備える前に知っておくべき寿命の話

私たちの世代は残念ながら老後の年金にあまり期待できない。
年金制度がなくなることはないだろうが、思ったほどもらえないという可能性は高い。
計画的に老後に備えておく必要がある。

ここで難しいのが「何歳まで生きると想定してお金を備えておけばいいのか?」という問題だ。

平均寿命まででは全然たりない

寿命の指標として有名なものに厚生労働省から発表される平均寿命がある。
平成28年のデータでは日本人の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年となっている。

「では、この年齢くらいまでで人生設計をすれば大丈夫だろう。」
もし、あなたがそう思っているなら要注意だ。あなたは平均寿命よりもかなり長生きすると考えておくべきだ。

実は男女とも約60%の人が平均寿命よりも長生きする。

平均といわれると約半分の人が到達する年齢のことだと思いがちだが、それを表すのは平均ではなく中央値だ。
では生存率が50%になる寿命の中央値は何歳なのだろうか?

男性:50%の人が83歳まで、30%の人が88歳まで、10%の人が94歳まで生存する

女性:50%の人が89歳まで、30%の人が94歳まで、10%の人が98歳まで生存する

*平成28年簡易生命表より概算

寿命の中央値は男性で約83歳、女性は約89歳だ。
二人に一人がこの年齢以上に生きるということだ。
また30%の人、10%の人が生存する年齢も老後を考える上では参考になるだろう。

中央値は平均よりも約2年ほど長い。
しかし、老後の備えという意味ではこの数字でもダメだ。

老後を気にするのであれば65歳時点の余命が大事

実は平均寿命というのは今ゼロ歳の人の余命のことだ。
上述した中央値もゼロ歳の余命で計算している。
あなたの年齢で考えた場合、上記よりも少し長生きすることになる。

さらに、老後の生活や資金を検討する上では、あなたの現在の年齢における余命よりも、あなたが65歳になった時点での余命を見る方がふさわしい。

なぜなら老後の生活は65歳まで生き残った場合にのみおとずれるからだ。
不幸にも65歳より前に死んでしまった場合は老後の生活なんて考えなくていいからだ。

あなたが65歳になった時点での余命を知るためには、今現在の平均寿命や中央値なんて見ても意味がない。
あなたが65歳になるまでには医療技術はさらに進歩し、寿命もさらに延びるていることが予想されからだ。

そこで国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口のデータを見てみる。
これは過去の寿命や死亡率等の推移から将来の人口動態を予想したものだ。

それでは現在20歳から50歳の人が65歳になる時点、つまり2032年から2062年の予想を見てみる。

男性:65歳まで生き抜いた人のうち50%の人が86~88歳まで、30%の人が91~92歳まで、10%の人が96~98歳まで生存する。

女性:65歳まで生き抜いた人のうち50%の人が92~94歳まで、30%の人が95~97歳まで、10%の人が100~102歳まで生存する。

*日本の将来推計人口(平成29年推計)の中位仮定の将来生命表より概算
年齢に幅があるのは複数年のデータをもとにしているため

思ったより長生きすると思ったのではないだろうか?
最初に見た平均寿命よりも5年以上は長生きすると覚悟しておいた方がいいだろう。
さらに65歳まで生き抜いた女性の10人に1人は100歳以上まで生きるのだ!

ではあなたの人生設計において寿命を何歳に設定するべきか。
65歳時点の余命の中央値と見ておけば正解だろうか?

残念ながら寿命が確率でしか分からない以上、これといった正解はない。

私自身は30%生存ラインの年齢までは備えておくつもりでライフプランを作っている。
つまり男性は約91歳、女性は約96歳までは生きることを前提に老後の計画を建てている。
半分がその年齢よりも長生きする50%生存ラインではリスクを感じるし、かと言って10%生存ラインまで備えるのは過剰な気がするからだ。

また、あなたが結婚しているなら夫婦二人での老後であるということも考慮する必要がある。
夫婦二人のうち少なくとも一人が50%以上の確率で生存する年齢は、それぞれが50%以上の確率で生存する年齢よりも高くなる。

例えば、現在20~50歳の同年齢の夫婦がともに65歳まで生存したのちに、少なくとも一人が50%以上の確率で生存する年齢は94~96歳になる。
これは前述した男性、女性それぞれが50%の確率で生存する年齢よりも高くなっている。

貯金だけに頼らないことも重要

何度も言うが、実際のところ何歳まで生きるかは誰にも分からない。
もし10%生存ラインまで生きたとしたら30%生存ラインの場合よりも5歳以上長生きすることになる。

30%生存ラインを想定してお金を蓄えていた場合は金銭的には非常に厳しくなるだろう。
長生きは素晴らしいことだが、お金の面ではリスクになりうる。

そんな長生きリスクに備えるには貯金にたよる比率をさげて、年金以外の定期的な収入源となるものを作っておくのが重要だ。
例えば配当や金利のある資産への投資、終身型の個人年金保険等だ。

また、これからは老後においても働いてお金を得ることが一般的になっていくだろう。
老後でも稼げるように常に知識やスキルを学び続けることも重要になっていく。

終わりに

近年の高齢化を受けて世界的に老化や寿命に関する研究やビジネスが拡大している。
あのgoogleも老化や寿命などの研究をする子会社Calico(キャリコ)を設立している。

国立社会保障・人口問題研究所の予測は過去のトレンドから推計したものだが、何かしらの技術革新があれば過去のトレンド以上に寿命が伸びることも十分考えられる。
例えば日本人の死亡の一番の原因であるがんの特効薬が見つかれば寿命は飛躍的に伸びるかもしれない。

より先の未来を見れる可能性は嬉しいが、お金の悩みはさらに増えるかもしれない。